社内での私用メール、メッセンジャー

最近、会社で私用メールとメッセンジャーの内容をチェックしているようだ。

どこにつないでいるか、アカウント名、パスワード、内容までわかってしまうようだ。
Thunderbirdとpidginで会社のアカウントと同時に
プライベートなアカウントまで管理していたからちょっとあせった。

恋愛メールとかそんなのはしてないけどね。
職場パソコンからの恋愛メールにご用心

Regina Lynn 2005年02月24日

 今月は編集者たちがこぞってバレンタインデーにふさわしい記事でページを埋め尽くそうとしたせいで、各メディアで職場でのロマンスの話題が盛んに取り上げられた。

 職場で独身社員が増加(米CNNによると、過去10年間で18%増)していて、さらには未婚・既婚を問わず働く女性が増えていることから、職場恋愛も増えているというのが大方の見方。

 そのほかに、相手が社外の人間なのに、職場で性生活を営んでしまう人もいる。

 もちろん職場恋愛が増えないわけがない。ただでさえ、職場では最高の自分を見せ、きちんと考えてから喋り、礼儀正しく振る舞い、間違っても大学時代から使っているみすぼらしいスエットパンツをはいたりはしない。そして周りには、聡明で面白い人がいて、そういう相手と共通の目標を目指して働いているのだから。

 加えて、今では、ただの興味と実際の行動との間にあった最大の障壁が取り払われている——相手も自分に惹かれているかどうかを確かめるという大きな賭けに出る必要が、もはやなくなったのだ。

 カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校の社会学者で、ジェンダー学と職場恋愛に詳しいジャネット・リーバー氏はこう話す。「同僚に面と向かって話をするのには神経を使う。でも電子メールなら、半分無垢を装って探りを入れることができる。たとえ無視されたとしても、構いやしない。もし誰かが気のある返事を送ってきたら、それで社内に自分に関心を寄せている人がいるとわかる」

 何もかも慎重なことこの上ないように思われる——ほとんど誰にも注目されずに、相手と特別な笑顔を交わし、メールでいちゃつき、インスタント・メッセンジャー(IM)でも楽しくチャット。アフターファイブはお酒とセックス。2人がそんな関係にあるなんて誰が気付くだろう?

 じつは潜在的には誰もが知りうるのだ。職場のネットワーク管理者は、会社のネットワーク上で社員が送受信した電子メールのコピーをぜんぶ持っている。ではIMなら安心かというと、管理者は、会社のネットワークで社員がコンピューターを使用している間は、内容をすべて見ることができる。チャットのログも画面に表示させたウィンドウも何もかも。ウェブメールは傍受できないけれど、だからといって書いたり読んだりしている最中なら、見られないわけではない。

 カリフォルニアのローダイ市のネットワーク管理者ジェリー・ムーア氏は、いくつかのビルに散在するおよそ500台のコンピューターのネットワークを管理している。

 「30分もあればすべてのシステムをくまなく調べることが可能だ。市のすべてのコンピューターをだ。どのソフトウェアが動いているかがわかる」とムーア氏は話す。「それが不要なプログラムであれば、遠隔操作でそれを削除することができる。クリック1回で、どのマシンでも、あるいは複数のマシンをまとめて、インターネットへの接続を一時的に遮断することも可能だ——本人への対処は後でやるとして、ひとまず遮断するわけだ。ユーザー側がそれを回避する手段はない」

 会議の合間に『AOLインスタント・メッセンジャー』(AIM)でちょっとみだらなチャットをしよう思っても、こうなるとひとたまりもない。

 どんなものでも記録されないものはない。使用したポート、プロトコルの種類、閲覧したウェブサイト、そこにとどまった時間、何もかもお見通しだ。3人の常勤スタッフがファイルのログを監視することに専念しているが、とてもログに残されたものすべてを見るわけにはいかないとムーア氏は話す。ただし仮に市が召喚状を受け取れば、データは提出できる状態にあるという。

 こんな厳しい監視を受けたら、ユーザーのほうは、なんとか規則をかいくぐって、職場で恋愛やセックスや個人的楽しみにふけってやろうと駆り立てられるもの。つまるところ、あんなに長い時間を職場で過ごすのだから、息抜きはあってしかるべき。でしょ?

 『トレオ650』(Treo650)で『Pdaネット』(PdaNet)を走らせれば、個人のノートパソコン用の便利なワイヤレスモデムになる。ある友達の友達は、テキストベースのウェブブラウザー『リンクス』(Lynx)を自分のワークステーションにインストールし、「プライバシーをわずかばかり確保して」(そんなに安全ではないことを彼女に漏らしたくはないけれど……)オンラインのデートサービスで相手とメッセージを交換している。

 私も参加しているコンピューター愛好家メーリングリストのメンバーは、職場で自宅の『iTunes』(アイチューンズ)ライブラリーをストリーミングしたり個人メールにアクセスしたりと、数々の仕事以外の用事をこなすのにSSHトンネリングを利用しているようだ。

 そのなかの1人はこう話した。「ウェブやメールのためにSSHで自宅のマシンにトンネリングするんだ。自宅で独自のメールサーバーとキャッシュを行なうプロキシサーバー(Squid(スクイド))を走らせている。ブラウジングしていても、DNSだって会社のネットワークからは見つからないよ」

 また別のメンバーはある「友人」について明かした。その人は「ウェブサーバーにJavaベースのSSHクライアント『MindTerm』をセットアップしていて、これが毎朝アプレットとして動作する。リモートのUNIXマシンでは『Socks』(ソックス)プロキシを走らせ、『Firefox』(ファイアーフォックス)やAIMを使用できるように設定されている。電子メールは、UNIXマシンで『Pine』経由で行なう。Firefoxは一切キャッシュを行なわないように設定されており、何も記録されない」のだという。

 また、職場のコンピューターでプライバシーを確保することに見切りをつけて、『サイドキックII』(Sidekick II)を購入した人も、少なくとも1人いる。

 たいていの組織のIT部門は、社員の最新のいやらしい電子メールを読んだり、ポルノサイトを見ている社員をチェックしたりする「のぞき屋」の役目をしているわけではないと、ムーア氏は指摘する。ムーア氏に言わせれば、組織が懸念するのは、セキュリティーや社外秘の情報、企業イメージ——職場のアカウント使って性的なジョークを送信されれば台無しだ——の保護、そして米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)の順守といったことだ。

 職場恋愛の話に戻ると、出会った相手が、自分の力を誇示したがる人間だったということもある。キムさん(仮名)はある大企業の幹部で、日常的にベンダーや顧客と何百万ドルという規模の取引の交渉を行なっている。彼女がデートを始めた相手は、その会社のネットワーク管理者だった。2人は、電子メール、IM、デジタルフォトといった現代の付き合いではあたりまえのツールを全部利用して交際を続けた。

 しかも2人は、それを会社のネットワーク上でしていた。一方がネットワーク管理者だったため、そのときはまったく問題がないように思われた。しかしその後、彼は、好きなときにネットワーク上のどのパソコンでも見ることができ、システム内のいかなるメールも読め、他の従業員に関する情報を彼らの不利になるように利用できる自分の権限を自慢しだした。もしそうしたいと思えば、誰かが取り組んでいる最中の仕事を消去してしまうこともできるのだと。

 もちろんキムさんは、その危険な兆候に気付いた。「やはり疑いを持ってしまうのよ。相手の誠実さがひたすらわかっていて、信じて、尊重して、そして実際に誠実だったのにね」と彼女は話す。「どうしても警戒して、いろんなことを誤解されないように隠すようになったわ」

 キムさんは、苦い経験をしてテクノロジーと職場恋愛について学ぶことになった。今では彼女は、このネットワーク管理者が「デートの相手になりそうな女性に網を張り、電子メールのやり取りを見て誰が興味を抱くかを見極めていた」と考えている。

 関係が破綻する少し前のある日、社外の女友だちに、この関係についての悩みを具体的に相談する電子メールを送った後で、キムさんは彼から電話を受けた——彼は、その電子メールを読み、先々読み返すためにそのメールを自分の『Yahoo!』(ヤフー)のアカウントに転送しておいたというのだ。

 この相手と別れて数ヵ月経った今、彼女は(依然として)職場から個人的な電子メールを送ることがあるが、じつは意図的にメールの内容を選択している。「彼はどのみち、電子メールを見ているのだと考えることにしたわけ。送るメールを選ぶのは、ともかく彼に、私は不愉快で、別れは楽しいことじゃないと伝え続ける1つの手なのよ」

 どうやら2人とも、職場恋愛の状態にはなかったらしい。職場恋愛は、地理的に便利だし、ドラマティックかつエキサイティング。けれども分別のあることとはとても言えない。SSH? プロキシー? 自分のIMのログが最高情報責任者に送られる? 面倒な話。

 インターネットは、プライベートと仕事を混ぜ合わせるほうへと人々を駆り立て、挙句の果てに、その2つの線引きがどこなのか、線引きはできるのか、ほとんどわからなくしてしまった——とりわけ自宅で仕事をしている人にとっては。私が思い描く穏やかな生活というのは、午前中はずっと個人的要件に邪魔されずに仕事をし、ランチを取りに『Wi-Fi』(ワイファイ)カフェに行ったときにデートの電子メールをチェックしたり、離れた場所で仕事をしている特別な人に甘いメッセージを送ったりして、帰ってきてまた午後中仕事をし、残りの個人的な行動は夜に自宅に戻るまで取っておく、というものだ。

 職場のセックスには抗しがたい魅力があると思えたらどうするかって? 性科学者のイアン・カーナー氏はこうアドバイスする——身体の欲望を満たしてあげて、衝動を抑えなさい。

 「新しいセックスの魅力はとても強力だ」と、カーナー氏は最近のコラムに書いている。「だから、個室に入ってマスターベーションしなさい」

 まさか会社のIT部門がそれを詮索するとは思えない。

 ではまた来週。
 レジーナ・リン