モチベーション

モチベーションとは、人が一定の方向や目標に向かって行動し、
それを維持する働きのことです。「動機づけ」「やる気」、と呼ばれることもあります

モチベーションは、2つの要因から構成されています

ひとつは、「動因」(ドライブ)とよばれ、人の内部・心にあり、行動を引き起こします。 身近な動因には、食欲や睡眠といった生理的欲求があります。
これらの生理的欲求は1次的欲求ともよばれ、人間には誰しも備わっています

この1次的欲求が満たされると、次に社会的な欲求と言える2次的欲求が生じてきます。
これについては、モチベーションの理論として マズロー の欲求階層説がよく知られています

モチベーションを構成するもう一つの要因は「誘因」(インセンティブ)です。 
これは人の外部にあり、この要因により人の行動は誘発されます

ショッピングにおける「衝動買い」 は、ディスプレイが誘因になり、「買いたい」 という動因が引きこされた結果といえます

いくら誘因があっても、動因が生じなければ行動は起こりません。
お腹がいっぱいのライオンは目の前にシマウマがいても、動こうとしません
モチベーションを向上させる方法とは

外部から報酬を与えて、モチベーションを向上させようとする手法は「外発的動機づけ」と呼ばれています

目標を達成すれば昇進・昇格させる人事制度や、成果主義に基づく賃金制度は、この外発的動機づけの代表例です

これに対して社員が自らの意思で主体的に目標を立て、目的に向かって行動を起こさせるようにする動機づけは「内発的動機づけ」と呼ばれています

ハーズバーグは、企業におけるこの動因と誘因を具体的に研究し、「動機づけ衛生理論」として発表しています。

満足を招いた要因としては

* 達成感
* 他者からの承認・評価
* 仕事そのものへの満足感
* 責任
* 昇進
* 進歩
* 個人的な成長

といった要因が81%と多くを占め、これを「動機づけ要因」としました

逆に不満を招いた要因には

* 企業の施策と管理
* 監督
* 監督者との関係
* 労働条件
* 給与
* 身分
* 保障

といった要因が69%と多数を占め、これを「衛生要因」としました

「衛生要因」 は満たされないことで不満を引き起こすのですが、これをいくら改善しても満足度を高めることにはなりません。
不満の解消=満足度の向上ではないのです

つまり、仕事への不満を生み出す要因をいくら改善してもモチベーションは向上しません。

「衛生」 とは馴染みのない用語ですが、不衛生にすると病気になりやすい(=満足度が低下する)。
しかし、いくら衛生的にしても健康になるわけではない(=満足度はアップしない)、と考えるとわかりやすいかもしれません

企業において社員のモチベーションを向上させるには、内発的動機づけによる手法が望ましい

* 目標の達成感を味あわせる
* やればできるという自信を持たせる
* 成功には賞賛の声をかけてやる
* 部署やチームにとって必要な人であることを理解させる
* 仲間からの感謝の気持ちを伝える
* 成功を分かち合う
* 権限を与え挑戦させてみる
* 自主的な判断を尊重する
* フィードバックを通じて客観的に自分自身を知らしめる
* トップや上司が夢を語る
* 提案は真剣に聞いてやる

こうした内発的動機を喚起し、動機づけ要因に訴えかけるマネジメントが望ましいのです

ブルーム は、モチベーションを引き起こす「誘因」として、次の3つの要素を取り上げました

1. 対象物そのものの魅力度
2. 対象物を手に入れるための行動が、どのくらい目的達成に直結するか、その度合
3. 行動により対象物を手に入れられる可能性

これらを掛け合わせたものが高いほど、モチベーションが高まるとされています

わかりやすい例として、大相撲を取り上げてみましょう。
白鵬が横綱に昇進しました。
大関時代の白鵬にとって、「1」にあたるのが横綱の地位という魅力度です

そして横綱に昇進するための条件はただ一つ、2場所連続優勝することです。
これが「2」に当たります。
対象物を入に入れる事と明確にリンクしていて、ほかに選択肢はありません

ビジネスでは、このように対象物を得るための方法が唯一これだけしかない、とういうケースは稀で、いくつかの選択肢があるのが普通です

そして「3」は、白鵬自身が考える、2場所連続優勝の確率です

ブルームの説を実際の仕事の場面にあてはめると、モチベーションを高めるためには次のような手法が考えられます

まず、目標、結果の魅力度を高めること

* 昇進、昇格
* 昇給や賞与といったお金に関係するもの
* 目標管理制度で設定する個人の目標
* 部・課、チームなど集団での目標

これらは企業・組織の目標です。
さらに視点を広げ、企業の目標と個人の目標を高いレベルで一致させることが大切です

それは、いまの仕事をする意味は何か、この会社で働く目的とは何か、自らの成長のために何が必要なのか、これらを明らかにすることにより、
企業の目標が本人にとっても価値のあるものであることを理解させるプロセスです

企業と個人の目標がより高いレベルで一致すればするだけ、目標・結果の魅力度が高まることになります

[参考]
http://www7a.biglobe.ne.jp/~justeye/mv_towa.htm