ステートレスとは何か
stateless 直訳すると無国籍。
意味:
ステートレスとは一つひとつの通信において以前の状態を保持しないことをいう。
面白い記事を見つけたのでメモ。
http://yohei-y.blogspot.com/2007/10/blog-post.html
RestWiki をたまに見直すと新たな発見があって面白い。
たとえば先日、「ステートレスなやりとりとは何か(What is Stateless Interaction?)」という箇所を見つけて、興味深く読んだ。このページは以前も絶対に読んでいるはずなのだが、人間は忘れてしまうものである。
RestWiki の例でも充分わかりやすいのだけれど、自分でも例を思いついたので書きとめておく。
ステートフルサーバとステートレスサーバはどう違うのか。
まずは、ステートフルの例:
* 客: こんにちは
* 店員: いらっしゃいませ。○○バーガーへようこそ
* 客: ハンバーガーセットをお願いします
* 店員: サイドメニューは何になさいますか?
* 客: ポテトで
* 店員: ドリンクは何になさいますか?
* 客: ジンジャーエールで
* 店員: +50円でドリンクをLサイズにできますがいかがですか?
* 客: Mでいいです
* 店員: 以上でよろしいですか?
* 客: はい
* 店員: かしこまりました
これはいたって普通の会話に見える。では、ステートレスな場合はどうなのか。
* 客: こんにちは
* 店員: いらっしゃいませ。○○バーガーへようこそ
* 客: ハンバーガーセットをお願いします
* 店員: サイドメニューは何になさいますか?
* 客: ハンバーガーセットをポテトでお願いします
* 店員: ドリンクは何になさいますか?
* 客: ハンバーガーセットをポテトとジンジャーエールでお願いします
* 店員: +50円でドリンクをLサイズにできますがいかがですか?
* 客: ハンバーガーセットをポテトとジンジャーエール(M)でお願いします
* 店員: 以上でよろしいですか?
* 客: ハンバーガーセットをポテトとジンジャーエール(M)でお願いします。以上
* 店員: かしこまりました
これは明らかに冗長であほらしいのだけれど、サーバがステートレスというのはこういうことである。
ステートフルの例では、2回目以降の対話では、客(クライアント)はそれまでの前提(ハンバーガーセットを頼んでいること)は繰り返さなくてもよかった。なぜか。それは店員(サーバ)が客(クライアント)の注文状態を覚えていたからである。この店員(サーバ)は「この客(クライアント)はハンバーガーセットをポテトで頼んでいる」ということを覚えている。これをアプリケーション状態、あるいはセッション状態と呼ぶ。次にドリンクの種類を聞いたときに店員(サーバ)は自分で覚えている客(クライアント)のアプリケーション状態を「この客はハンバーガーセットをポテトとジンジャーエールで頼んでいる」と更新する。
ファーストフード店の店員であれば、ステートフルな実装は当たり前なのだが、Web サーバは異なる。それはスケーラビリティの問題である。店員(サーバ)が一人の客(クライアント)をずっと相手にしていると、その間別の客に対応することができない。店が込んできたら(アクセスが集中したら)、店員を増員して(Webサーバを増設して)対応する。普通の店舗では、ひとつのレジで一人の店員がずっと同じ客を受け付けるのだが、 Web の場合は複数の Web サーバ(比較的少数)で複数のクライアント(比較的多数)を同時に受け付ける。ここで、ステートレスサーバであれば、以下のように、各インタラクションで別々の店員(サーバ)が客(クライアント)の注文(リクエスト)に応答(レスポンス)することが可能になる。
* 客: こんにちは
* 店員1: いらっしゃいませ。○○バーガーへようこそ
* 客: ハンバーガーセットをお願いします
* 店員2: サイドメニューは何になさいますか?
* 客: ハンバーガーセットをポテトでお願いします
* 店員3: ドリンクは何になさいますか?
* 客: ハンバーガーセットをポテトとジンジャーエールでお願いします
* 店員4: +50円でドリンクをLサイズにできますがいかがですか?
* 客: ハンバーガーセットをポテトとジンジャーエール(M)でお願いします
* 店員5: 以上でよろしいですか?
* 客: ハンバーガーセットをポテトとジンジャーエール(M)でお願いします。以上
* 店員6: かしこまりました
ステートレスサーバというのは一見冗長なように見えるが、スケーラビリティの観点から見ると、理に適っているものである。